プレコンセプションケア
プレコンセプションケア

「妊娠を考えているけれど、まず何をすればいいかわからない」「今すぐではないけれど、将来のために体を整えておきたい」。そのようなお気持ちをお持ちの方に、ぜひ知っていただきたいのがプレコンセプションケアです。
プレコンセプションケアとは、妊娠前から自分の体の状態を知り、妊娠に向けた健康づくりに取り組むことです。妊娠してから気づいたのでは手遅れになることも、妊娠前に対処しておけばリスクを大きく減らせることがあります。当院では、妊娠前検査・栄養・サプリメント相談・ワクチン相談を通じて、一人ひとりに合ったプレコンセプションケアをサポートしています。
プレコンセプションケア(Preconception Care)とは、プレ(pre)は「〜の前の」、コンセプション(conception)は「妊娠・受胎」を意味し、「妊娠前からの健康づくり」を指します。妊娠を考えている女性だけでなく、将来的に妊娠・出産を希望するすべての女性とそのパートナーを対象としたヘルスケアです。
2025年5月、こども家庭庁は「プレコンセプションケア推進5か年計画」を発表し、国を挙げてプレコンセプションケアの普及が本格的に始まっています。妊娠してから初めて体の問題に気づくのではなく、妊娠前から自分の健康状態を把握し、必要なケアを行うことで、健やかな妊娠・出産の可能性を広げることができます。
妊娠初期(特に妊娠4〜8週頃)は、赤ちゃんの脳・神経・心臓などの重要な器官が形成される大切な時期です。しかし多くの方は、この時期にまだ妊娠に気づいていません。そのため、妊娠がわかってからケアを始めるのでは間に合わないことがあります。
たとえば、葉酸は赤ちゃんの神経管閉鎖障害の予防に重要な栄養素ですが、妊娠の1か月以上前から摂取を始めることが推奨されています。また、風疹などのワクチンは妊娠中には接種できないため、妊娠前に接種しておく必要があります。
若い女性のやせや肥満の増加、出産年齢の高齢化を背景に、リスクの高い妊娠が増加しています。プレコンセプションケアによって妊娠前にリスクを把握し対処しておくことが、母子ともに健やかな妊娠・出産につながります。
妊娠前検査は、以下のような方におすすめしています。
「まだ妊娠は先の話」と思っていても、早い段階で自分の体の状態を知っておくことは、将来の妊娠への備えとして非常に有意義です。
妊娠前検査では、妊娠や健康に影響を与えるリスク因子を調べます。主な検査項目は以下の通りです。
これらの検査をすべて行う必要があるわけではなく、患者さんの状況や希望に合わせて必要な検査を選択してご提案します。
初診・カウンセリング
希望する妊娠時期・月経の状態・既往歴などをお聞きします
検査実施
超音波検査・血液検査・感染症検査などを実施します
結果説明
結果をもとにリスク因子と対処法を丁寧にご説明します
必要な対応
治療が必要な場合や生活習慣の改善が必要な場合はご提案します
検査の一部は健康保険が適用される場合がありますが、プレコンセプションケアの検査は原則として自費診療となることが多いです。詳しくは診察時にご確認ください。
妊娠前から適切な栄養を摂ることは、妊娠しやすい体づくりと赤ちゃんの健康な発育の両方に影響します。特に意識していただきたい栄養素は以下の通りです。
赤ちゃんの神経管閉鎖障害(脳や脊髄の先天異常)を予防するために重要なビタミンです。妊娠の1か月以上前から妊娠初期にかけて、1日400マイクログラムの摂取が推奨されています。緑黄色野菜(ほうれん草・枝豆・アスパラガスなど)に多く含まれていますが、食事だけで十分量を摂ることが難しいため、サプリメントの活用がおすすめです。
鉄欠乏性貧血は妊娠中の合併症リスクを高めるほか、不妊の一因になることもあります。妊娠前から鉄分を十分に摂り、体内の鉄貯蔵(フェリチン)を適切なレベルに保っておくことが大切です。
ビタミンDは免疫機能・骨の健康・妊娠との関連が報告されており、不足している方が多い栄養素のひとつです。血液検査でビタミンDの状態を確認し、必要に応じてサプリメントで補充することをおすすめします。
ホルモンの材料となるタンパク質や、卵子の質に関連するとされる亜鉛、代謝に関わるビタミンB群も妊娠前から意識して摂ることが大切です。
やせ(BMI 18.5未満)は月経不順・排卵障害・低出生体重児のリスクを高め、肥満(BMI 25以上)は妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病などのリスクと関連します。適正体重(BMI 18.5〜25未満)の維持が妊娠前から重要です。
食事だけで必要な栄養素をすべて補うことは難しいため、サプリメントを上手に活用することも大切です。ただし、サプリメントはすべての方に同じものが適しているわけではなく、過剰摂取がかえって体に悪影響を与えることもあります。特にビタミンAの過剰摂取は胎児奇形のリスクと関連することが知られており、注意が必要です。
また、漢方は体質改善・冷えの改善・月経周期の安定など、妊娠前の体づくりに活用できる場合があります。当院では、患者さんの体質や血液検査の結果をもとに、一人ひとりに合ったサプリメント・漢方のご提案を行っています。
当院では、妊娠を希望される方や妊娠中の方に役立つサプリメントを厳選してご用意しています。血液検査の結果(貧血・ビタミンD・甲状腺機能など)を踏まえたうえで、個々の状態に合わせたサプリメント・栄養・漢方相談に対応しています。「何を飲めばいいかわからない」「サプリメントが多すぎて選べない」という方も、ぜひご相談ください。
妊娠中は免疫力の変化から感染症にかかりやすくなるほか、特定の感染症は胎児に深刻な影響を与えることがあります。しかし、生ワクチン(風疹・麻疹・水痘・おたふくかぜなど)は妊娠中には接種できないため、妊娠前に接種歴を確認し、必要なワクチンを接種しておくことが重要です。
ワクチン接種歴は母子手帳で確認できます。接種した記憶がない・母子手帳が手元にないという方は、血液検査で抗体の有無を確認することができます。
妊娠中に風疹に感染すると、赤ちゃんに「先天性風疹症候群」を引き起こすことがあります。白内障・心疾患・難聴などの重篤な障害につながることがあるため、妊娠前に抗体を確認し、不十分な場合はワクチン接種が推奨されます。ワクチン接種後2か月間は妊娠を避ける必要があります。また、同居するパートナーや家族にも接種をすすめることが大切です。
妊娠中の水痘感染は胎児に影響を与えることがあります。抗体が不十分な場合は、妊娠前の接種をおすすめします。接種後2か月間は妊娠を避ける必要があります。
これらも妊娠中の感染が胎児に影響を与えることがあります。MRワクチン(麻疹・風疹混合)やMMRワクチン(麻疹・おたふくかぜ・風疹混合)として接種できます。接種後2か月間は妊娠を避ける必要があります。
妊娠中はインフルエンザが重症化しやすいとされています。妊娠前・妊娠中ともに接種が可能で、毎年の接種が推奨されます。
HPV(ヒトパピローマウイルス)感染を予防し、子宮頸がんのリスクを下げることが期待されます。妊娠前に接種しておくことが推奨されています。
当院では、接種歴の確認・抗体検査・ワクチン接種のご相談に対応しています。「どのワクチンが必要かわからない」という方も、まずはご相談ください。妊娠を考え始めたタイミングで、ワクチンの状況を一度整理しておくことをおすすめします。
「今すぐ妊娠するわけではないけれど…」という方も歓迎しています。妊娠前からの準備が、赤ちゃんとご自身の健康を守る第一歩になります。まずはお気軽にご相談ください。
