卵管診療・検査
卵管診療・検査

妊娠するためには、卵子と精子が出会い、受精する必要があります。その「出会いの場」となるのが卵管です。不妊の原因はさまざまですが、卵管に問題があるケースは決して少なくありません。にもかかわらず、卵管の状態をきちんと調べないまま治療が進んでしまうことも少なくないのが現状です。
当院では、卵管の状態を正確に評価する検査から、異常が見つかった場合の治療まで、一貫して対応しています。「卵管のことが心配」「まず検査だけ受けてみたい」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。
卵管は、子宮の左右両側から伸びる細い管で、長さはおよそ10〜12cmほどです。排卵によって卵巣から放出された卵子を取り込み、精子と出会わせて受精させる役割を担っています。受精卵はその後、卵管の中を移動しながら子宮へと運ばれ、着床することで妊娠が成立します。
卵管は単なる「通り道」ではなく、卵子や受精卵を育むための環境を整える重要な臓器です。卵管の内側には繊毛(せんもう)と呼ばれる細かい毛が生えており、卵子や受精卵をやさしく子宮の方向へ運んでいます。また、卵管内の分泌液は受精卵の発育を助ける役割も担っています。このように、卵管は妊娠の成立に欠かせない多くの機能を持っています。
卵管に閉塞(詰まり)や狭窄(狭まり)があると、精子と卵子が出会えず受精が起こりにくくなります。また、受精卵が子宮までスムーズに移動できなくなることもあります。このような卵管の異常による不妊を「卵管因子による不妊」と呼び、女性の不妊原因の約3割を占めるといわれています。
卵管は非常に細く、超音波検査では直接確認することが難しい臓器です。そのため、卵管に異常があっても自覚症状がないまま過ごしているケースが多く、不妊検査を受けて初めて気づくことも少なくありません。「なかなか妊娠しない」とお悩みの方は、一度卵管の状態を確認することが、治療の方向性を決める重要な一歩になります。
当院では、不妊症の基本的なスクリーニング検査として、基本的にすべての患者さんに卵管造影検査をおすすめしています。まずは問診や超音波検査などを行い、適切な時期に卵管造影検査を実施し、卵管の通過性や子宮の状態を詳しく評価します。
他院で卵管造影検査を受けられたことがある方は、その結果を拝見したうえで、必要に応じて追加検査や治療方針をご相談いたします。
検査の結果、卵管に閉塞や狭窄が認められた場合には、FT(卵管鏡下卵管形成術)による治療まで当院で一貫して対応することが可能です。「検査を受けたが、その後の治療はどこでできるのかわからない」という方にも、当院では診断から治療まで同じ環境でご対応できます。
卵管造影検査(HSG:Hysterosalpingography)は、子宮内に造影剤を注入し、卵管を通じて腹腔内へ広がる様子をX線で撮影する検査です。卵管の通過性(詰まりや狭まりがないか)や、子宮内腔の形態を評価するための重要な検査で、不妊の原因を探るうえで欠かせないステップのひとつです。
卵管の内径はもともと非常に細く、感染や炎症などによって詰まりや狭まりが生じることがあります。卵管造影検査では、造影剤がX線に白く映るため、卵管の状態を視覚的に確認することができます。また、検査後に造影剤の通過により卵管の通りが改善し、妊娠しやすくなる場合があることも知られています。
当院では、透視装置を用いて、造影剤が卵管を流れるタイミングや速度をリアルタイムに観察し、卵管の機能を詳しく評価しています。造影剤は注入圧を強くすれば、一時的に狭窄した卵管を通過することがあります。そのため、「通った=正常」とは必ずしも言えません。造影剤の流れ方や卵管内の抵抗、狭窄部位やその程度まで総合的に判断することが大切です。
卵管造影検査は「痛い」というイメージをお持ちの方も多い検査ですが、当院では痛みを和らげる工夫をしながら実施し、できる限り身体的・精神的な負担を軽減できるよう努めています。検査に不安をお感じの方も、事前にご相談いただければ丁寧にご説明いたします。
卵管造影検査では、以下のことを評価することができます。
卵管造影検査は、卵管の状態だけでなく子宮の形や内腔の状態も同時に確認できるため、不妊の原因を多角的に評価できる検査です。一度の検査で複数の情報が得られることも、この検査の大きな特徴のひとつです。
検査は月経終了後から排卵前の時期(月経周期28日の方であれば、7〜10日目前後)に行います。検査前に事前に感染症検査を行なっていただく必要がございます。子宮の入り口から細いカテーテルを挿入し、造影剤を注入しながらX線で撮影します。検査時間は15〜20分程度で、当日は普段通りにご帰宅いただけます。
検査後は、感染予防のため抗生剤を処方します。検査後2〜3日以内に発熱や強い腹痛がある場合は、早めにご連絡ください。また、検査当日は激しい運動や入浴(湯船への入浴)はお控えいただくことをおすすめしています。なお、卵管造影検査は健康保険が適用されます。
卵管閉塞とは卵管が完全に詰まっている状態、卵管狭窄とは卵管が部分的に狭くなっている状態を指します。いずれも精子と卵子が出会いにくくなるため、自然妊娠が難しくなることがあります。
卵管は左右に一本ずつあり、どちらか一方に問題がある場合でも、もう一方の卵管が正常であれば自然妊娠の可能性が残ることがあります。一方、両側の卵管に閉塞がある場合は、自然妊娠が難しくなるケースがほとんどです。
閉塞・狭窄の部位によっても状態が異なります。卵管が子宮に接続する部分(近位部)に起こる場合と、卵管の先端(遠位部)に起こる場合では、治療の方針が変わることがあります。卵管造影検査の結果をもとに、一人ひとりの状態に合わせた治療方針をご提案します。
卵管閉塞・狭窄の主な原因としては、以下が挙げられます。
性感染症や骨盤内炎症は、自覚症状が乏しいまま進行することがあり、気づかないうちに卵管に影響を与えているケースもあります。過去に性感染症の治療を受けたことがある方や、強い月経痛・骨盤痛の既往がある方は、一度卵管の状態を確認しておくことをおすすめします。
第1子を自然妊娠・出産された方でも、第2子以降がなかなか授からない「第2子不妊」は珍しくありません。その原因の一つとして、卵管の狭窄や閉塞が隠れていることがあります。
妊娠・出産後は、以前は問題のなかった卵管に変化が生じることがあります。分娩や流産後に胎盤遺残や子宮内感染・炎症を起こした場合には、その影響が卵管に及び、狭窄や閉塞の原因となることがあります。また、子宮内膜症や骨盤内炎症、加齢に伴う卵管機能の低下なども、第2子不妊の原因となることがあります。
そのため、第1子を自然妊娠された方でも、第2子を希望して一定期間妊娠に至らない場合は、卵管造影検査による評価をおすすめします。
卵管の近位部(子宮側)に閉塞・狭窄がある場合は、FT(卵管鏡下卵管形成術)による治療が適応となる場合があります。FTはお腹を切らずに日帰りで受けられる低侵襲な手術で、健康保険が適用されます。術後はタイミング療法や人工授精での自然妊娠を目指すことができます。
一方、卵管の遠位部(腹腔側)に閉塞がある場合や、卵管留水症がある場合は、FTの適応とならないことがあります。その場合は腹腔鏡手術や体外受精など、他の治療方針をご提案することになります。いずれの場合も、検査結果をもとに患者さんの状態や希望に合わせた治療方針を丁寧にご説明します。
卵管の状態は、今後の治療方針を決めるうえでとても重要な情報です。「まず検査だけ受けてみたい」「自分の卵管に問題があるか確認したい」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。
